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オレンジ海外活動

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オレンジ国内活動

 Drサニイワ 研修('11)

オレンジその他活動

 医療機器寄贈('08)

 第14回 タンザニア眼科医療支援活動


●活動日程:2018年5月28日~6月2日
●訪問先: 国立ムヒンビリ大学病院
      (Muhimbili University of Health and Allied Science-MUHAS)
●参加者: 山崎俊(山崎眼科 院長)
      小嶋 義久(知多小嶋記念病院 副院長)
      浅見 哲(眼科三宅病院 副院長)
      浅見 慎(三重大学))
      竹内 護(アシコ・ジャパン,NPO法人タンザニア眼科支援チーム理事))
      竹内建司(テイクオフメディカル, NPO法人タンザニア眼科支援チーム理事))
      高橋 まゆみ(知多小嶋記念病院、看護師))
      吉川 静香(知多小嶋記念病院、ORT))
      横江美貴(在タンザニア日本大使館、看護師))
      貞廣光佐子(日本アルコン)

●活動内容:

 5月27日(日)

00:01

羽田空港発

14:40

ダルエスサラーム着。横江さんのサポートを得て事前に準備しておいたMUHASからの招聘状とTFDAへ提出したCertificate of Donationを見せ、スムーズに通関完了。横江さんが車を準備 してくれ、空港へ迎えに来てくれた。


 5月28日(月)

08:20

MUHASにて山﨑先生、小嶋先生、浅見先生の順で講義を行った。
山崎先生の講義:How to improve phaco surgery
小嶋先生の講義:Some Points of PEA
浅見先生の講義:The importance of disinfection in cataract surgery

9:20

Donation Ceremony

今年も様々な眼科医療機器、医薬品を寄贈した。
MUHASのDr. Julieth Magaudi (Director of Surgical Service at Muhimbili National Hospital)より感謝の言葉をいただいた。また、今年も在タンザニア日本大使館の吉田大使が駆けつけ てくださり、我々が10年以上タンザニアの医療に貢献してきたことを是非タンザニア国民にも知ってもらいたいとおっしゃって、現地タンザニアのマスコミに声をかけていただき、昨年に引き続きTVや新聞の取材も受けた。
今年のDonation CeremonyはMUHAS小児科病棟にある大きな講堂で行われ、Dr. Celina, Dr.Sanywa始め、総勢30名以上のドクターや研修医が参加してくれ、メディアの取材陣も入り、セレモニーは盛大に行われた。

寄付総額:¥9,130,864 (約82,000USD)
寄付アイテム数:2241+手術周りのディスポ製品
寄付協賛会社数:10社


10:00

・山崎先生は10分程AzamTVの取材を受け、その後、外来での術前検査(山崎先生、小嶋先生、浅見先生、浅見慎さん、高橋さん、吉川さん、貞廣)
・Dr. Celina、竹内(護)さん、竹内(建司)さん、横江さんは昨年新しくできたMUHAS Academic Medical Centerへ行き、Dr. Celinaに依頼された器械の点検、設置作業。


 5月29日(火)

7:30

MUHAS着。セットアップ開始。
ケラトメータ―:A-modeの測定はMUHASの研修医が担当し、吉川さんがサポート
術者の名前、オペ眼等、患者の詳細と記録取り:横江さん、貞廣
IOLパワー確定:先生方
器械、ビデオ、オートクレーブ等手術周りのセットアップ:護さんと健司さん
器械出し担当:高橋さん

10:30

オペ(計11症例)

・滅菌は滞りなく回っていた
・IOLパワー測定等術前の準備をする研修医の動きが昨年よりも悪くなった。昨年は研修医のDr. Kishanが指示を出して効率良く仕切ってくれていたが、彼が卒業していなくなり、また効率が落ち、混乱も続いていた。
・A-scanが途中で壊れてしまい、なんとか修理して乗り切ろうと思ったが動かず、最後3名の患者さんのオペは翌日へ延期となった。
・器具滅菌をするナース、IOLパワー測定等術前の準備をする研修医の動きが格段に良くなっており、患者入替えのスピードが以前に比べて格段に早くなっている
※1 オペの詳細は別紙参照

 5月30日(水)

07:45

前日にオペをした患者の術後検査
※1 術後検査の結果は別紙参照


08:30

オペ室準備
術前計測:昨日壊れたA-scanの代わりに大学の方で持っているA-scanを運んできて代替器として使用。使ったことのないA-scanなので皆使い方が分からず混乱し、使用方法を把握するまで時間がかかったがなんとか対応できた。


09:40

オペ開始(計13症例)

※2 オペの詳細は別紙参照


17:30

先に大使館へ向かう組と残って片付けをする組の2組に分かれて移動。難症例を含む3例が翌日に延期になったため、大使館でのディナーの時間を後ろへずらしてもらったため、片付け組以外は先に大使館へ向かった。
片付け組はディスポ製品をMUHASに寄付。散瞳薬、点眼麻酔が人気。CV-6000の立ち上げ方をビデオに撮ってMUHASのドクターに教える。フェイコを学びたいとMUHASのドクターに言われる機会が昨年よりも増え、フェイコへの関心が高まっていることを感じた。


19:00

在タンザニア日本大使公邸にて会食。




 6月2日(土)

10:00

Kinyerezi診療所(Zahanati Ya Kinyerezi)到着。検査の準備開始。この診療所では通常、内科、婦人科のFirst Aidのみ対応。急患には対応できない。眼科検診用のお部屋を用意してもらい、検診開始。


眼科検診(計27人) ※3 詳細は別紙参照
・事前に横江さんが視力、血圧、血糖値等を測り事前に問診をしておいてくれていた患者が30名。その内、当日現れなかったり、事前問診はしていないが、噂を聞きつけて飛び込みでやってきた患者さんがいたりして、計27名の患者さんの眼科検診を行った。
・深刻な疾患の患者は少なかったが、日本では滅多に見られないレベルの翼状片患者がいたり、その他、オペが必要な症例が5名程。
・老視が多いが眼鏡が買えないので矯正ができない(月給が約2~3万円なのに眼鏡が一番安いものでも5000円)。今年は老眼鏡を持ていったので非常に喜ばれた。
・横江さんの娘さんのルナちゃん(14歳)がスワヒリ語/日本語の通訳として大活躍
・目やにが出る患者さんにはベガモックスを、かゆみのある患者さんにはオドメールを渡した
・老視矯正が必要ない患者さんにはサングラスを渡した
・日本に比べて老眼を自覚する年齢が若い傾向にある。理由はもともと遠視気味、光暴露が多い、スマホの画面を長時間見すぎている、等。
・持参した古着も検診を待っている患者さんに配り、非常に喜ばれた。




 特記事項


1)術前検査でオペ対象になった患者数は29日に15名、30日に20名の計30名だったが、実際にオペが出来たのは29日11例、30日13例の計24例だった。原因はA-scanがオペ初日に途中で壊れてしまったことと、患者名と事前に診察をしたMUHASのドクターの名前を取り違えており、本来であればオペ対象であった患者さんを間違えて帰してしまったこと、また、オペ当日になって手術費用が支払えずオペを断念した患者さんがいたこと(手術費用としてMUHASが135,000シリングを徴収していた)。

2)オペ当日のレフケラとA-scanの計測をいつも通りMUHASの研修医が担当。初期の頃よりは格段に効率がよくなったものの、昨年に比べると混乱が多かった。昨年は腕のいい研修医が計測と仕切りを効率的に回してくれていたが、今年はその研修医が卒業してしまっていたため、混乱が起きていた。計測をしている場所と患者の待合室が同じ場所で狭いため、どの患者さんまで計測したか、どの患者さんをまだ計測していないか、などが分かりづらい。計測する場所と待合室を別にしてもいいかもしれない。

3)MUHAS Academic Medical Centerという新しい病院が昨年建設された。タンザニア政府が資金を拠出して韓国企業が施設を建設し、白内障手術機器は韓国のファンド経由で機種はパルサーⅡであった。ただ、設置された器機が動かないので我々に見てもらいたい、という依頼があり、護さん、健司さん、Dr. Celina、横江さんが確認しに行った。 結果は以下の通り:
・器械はOpticonのPulser II(イタリア製)。CPUメモリーのバッテリー切れでメモリーが全て消えている。バッテリーを差し替え、メモリーを再インストールをする必要あり(Error messages: CMOS battery low, CMOS checksum lost)。新品であればメモリーが飛ぶことはないので、数年間倉庫で寝かせていたものの可能性が高い・・。
・テストチャンバーとスリーブがない
・ベンチュリーポンプにつなぐボンベ、レギュレーター、コネクターもないので、硝子体オペはできない
・MUHASのドクターは我々が活動時に使っているCV-6000はフェイコ初心者向けの器械ではなく、Pulser IIであれば初心者でも使える、と思っている。

4)我々が活動の拠点にしているMuhimbili National Hospital(MNH)と新しく設立されたMUHAS Academic Medical Center(MAMC)との関係に関してDr. Celinaからの情報を得た。MNHは保健省の管轄下にあり、病院に特化した施設。MAMCは教育省の傘下にあり、教育機関としての機能と病院としての機能を持っている。これらは2つの別々の施設で、Dr. Calina, Dr. Suzan, Dr. Sanywa, Dr. John, Dr. Mafiri等我々が今まで関わってきたドクター達はMAMC所属だが、MNHでもオペをして両施設を行き来している。

5)今回、いつもにも増して、MUHASのドクターや研修医からフェイコを学びたいという声を多く聞いた。ある程度長期滞在してウェットラボでフェイコトレーニングをやってくれる人はいないか、という問い合わせを受けた。現在、タンザニアでフェイコができるドクターはDr. PadahniとDr. Judithのみだが、Dr. PadahniはMUHASを辞めてprivate hospitalであるアガカン病院に移ってしまったため、MUHASでフェイコを行っているのはDr. Judithだけとなっていた。ドクターがまずフェイコを学び、その後は研修医にも学ばせたいとのこと。現在の研修医の数は計20名(1年生10名、2年生4名、3年生6名)。

6) スコットランドの慈善団体、Archie-Wood Foundationが眼科オペ室の隣にある小児科のオペ室に麻酔器を設置、ベッドを寄付、廊下の壁をきれいにペイントする等貢献し、オペ室がとてもきれいになっていた。また、眼オペ室(4階)の下の1階には新しく透析装置が何台も設置されていた。他科はどんどん改善される方向にあるようだが、残念ながら眼科にはなかなかお金が下りてこないと眼科のドクター達は嘆いていたが、MUHASの施設全体としては年々設備が改善されている。


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