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オレンジ国内活動

 Drサニイワ 研修('11)

オレンジその他活動

 医療機器寄贈('08)

 第12回 タンザニア眼科医療支援活動


●活動日程:2016年6月11日~15日
●訪問先: 国立ムヒンビリ大学病院
      (Muhimbili University of Health and Allied Science-MUHAS)
●参加者: 山崎俊(山崎眼科 院長)

      横山光伸(木村眼科内科病院)

      小嶋義久(小嶋病院 眼科部長)
      竹内 護(アシコ・ジャパン
           NPO法人タンザニア眼科支援チーム理事)
      竹内建司(テイクオフメディカル
           NPO法人タンザニア眼科支援チーム理事)
      春木隆一郎(木村眼科内科病院、看護師兼眼科検査技師)
      桐山里美(木村眼科内科病院、眼科検査技師)
      横江美貴(在タンザニア日本大使館、看護師)
      貞廣光佐子(日本アルコン)

●活動内容:

 6月11日(土)

23:40

関西国際空港発


 6月12日(日)

15:00

ダルエスサラーム着(関空からの移動時間、約22時間)。横江さんのサポートを得て、MUHASからの招聘状とTFDAへ提出したCertificate of Donationを事前に準備しておいたため、今までで最もスムーズに通関できた。


 6月13日(月)

10:00

MUHAS着。Donation Ceremonyにて寄付製品をMUHASへ寄贈。
レクチャー参加者: Dr. Sanywa, Dr. Mathaka含むドクター、研修医、ナース、メディカルエンジニアの総勢17名のMUHASメンバーとタンザニア眼科支援チームメンバー。

10:10

桐山さんの講義
Title : For Refractive Correction
概略 : Refkeratometerの測定方法や注意点を写真を見せながら分かりやすく解説。
質疑応答 : タンザニアDrから、「検査前に散瞳していいのか?」という質問があった。「散瞳しておいた方が検査がしやすいのでむしろ散瞳しておくこと。」を説明した。


10:20

小嶋先生の講義
Title : Intraocular Lens Exchange From Small Incision
概略 : 眼内レンズ交換のいろいろなシチュエーションと方法についての説明。ビデオ付。
Dr. Sanywaからのコメント : 日本では難症例を1カ所にまとめて難症例だけに対応するドクターがいる。MUHASでは1人のドクターが様々な症例に対応しなければならないので、日本のやり方を取り入れてみてもいいのかもしれない。


10:30

横山先生の講義
Title : 新木村眼科内科病院の紹介
概略 : 昨年木村眼科内科病院は新病院に全面移転した。電子カルテの採用や新しくなったシステムが取り入れられ、ゆったりとした診療ができるスペースも確保できた。旧病院と比較したその概要をスライドで紹介した。


11:00

山崎先生の講義
Title : Tanzania eye support program
概略 : これまで11回行われてきた我々の活動の報告。今後の目標や問題点などを確認。
MUHASメンバーからのコメント:
       ・もう少し長い期間滞在して教育をしてほしい
       ・ウェットラボをしてほしい。豚眼を準備することも可能。



11:15

竹内(護)さん、竹内(建司)さん、春木さんはオペ室で器機の設置とコンプレッサーとフットスイッチが動かないために稼働していなかったAccurusの点検。

山崎先生、小嶋先生、横山先生、Dr. Suzan、Dr. Kishan、桐山さん、貞廣さんは外来で29名の検査を行い、手術対象患者20名の選定が終了した。


19:00

日本大使公邸にて夕食
今年から小杉医務官が赴任された。
タンザニアは今年から新しい大統領になり、国策が急激に変わっているとのこともあり、賄賂や汚職を減らすために規制を厳しなってきている。また、日本からはタンザニアへODAの支援をすることが決まり、道路整備等、日本ではあまり知られていないが、日本からタンザニアへは様々な支援を行っていることが分かった。


 6月14日(火)

9:00

MUHAS着。Sanywaが眼科部長退官したので、その後任のDr Celinaに挨拶後オペ室へ移動し術前検査とオペの準備開始。桐山さんがMUHASの研修医にレフケラとA-modeの測り方を指導。昨年、春木さんがA-modeの計測方法を指導した研修医1年目のドクターが今年は正確に計測できるようになり、検査の効率も確実に上がっていた。今年の研修医1年目のドクターはまだ計測がうまくできないので、桐山さんが熱心に指導。




11:00

オペ開始

1例目:42歳 女性 核の硬さは1-2程度   [術者:横山先生]
2例目:60歳 女性 Mature Cataract[術者:横山先生]
3例目:60歳 女性 中等度の白内障[術者:横山先生]
4例目:75歳 男性 [術者:小嶋先生]
5例目:73歳 女性 昨年小嶋先生がオペをした患者。左眼挿入済み。[術者:小嶋先生]
6例目:73歳 男性 フックでないとコントロールできず。[術者:小嶋先生]
7例目:76歳 男性 核の硬い後嚢下白内障[術者:小嶋先生]
8例目:71歳 男性 核の硬い症例[術者:小嶋先生]
9例目:61歳 女性 [術者:横山先生]
10例目:60歳 女性 核の硬い症例[術者:横山先生]

 6月15日(水)

9:00

外来での術後検査(山崎先生、横山先生、小嶋先生、桐山さん)

オペ室で器械のセットアップ(竹内護さん、竹内健司さん、春木さん、貞廣)昨日の2、3、4例目の患者すべて問題なし

術後検査を行っているのが研修医1年目の人達ばかりだったので、検査に非常に時間がかかった。また、時間通りに来ない患者さん、現地のドクターの判断で高血圧の高い患者さんはオペの順番を早めた方がいいのではないか、散瞳しづらい患者さんはオペの順番を遅らせるべきなのではないか、等の理由からオペの順番が入れ替わり混乱を来していたため、MUHASのドクターに検査チームを仕切るリーダーを決めてもらい、交通整理をしてもらうことで、術前検査の遅れを取り戻すことができた。


9:45

オペ開始

1例目:46歳 女性 糖尿病あり[術者:横山先生]
2例目:46歳 男性[術者:横山先生]
3例目:90歳 女性[術者:横山先生]
4例目:46歳 女性[術者:横山先生]
5例目:56歳 女性[術者:横山先生]
6例目:54歳 女性[術者:小嶋先生]
7例目:93歳 男性[術者:小嶋先生]
8例目:20歳 男性 外傷性白内障[術者:小嶋先生]
9例目:65歳 男性[術者:小嶋先生]
10例目:70歳 男性 Hyper mature cataract[術者:小嶋先生]


16:00

オペ終了
今回の活動は無事終了。

課題


1:MUHASドクターからのヒヤリング
・タンザニアの眼科医はフェローシップ等もらって海外留学しスキルを身に付けている人もいるのだが、器械がないためにスキルを活かすオペをすることがなかなかできない
・器械のメンテができていない
・メディカルエンジニアが教育機関で技術を学ぶ際に使用する器械も古いので最新のテクノロジーの進歩にはついていけていない
・国が貧しいので予算がない。予算がないので器械も購入できない。
・フェイコを習ってもフェイコ器機を買う予算がないのでフェイコができない
・MUHASでの検査について。術前検査は3日前から抗菌剤を入れる。術後検査は術後翌日、3日後、1週間後、3週間後、3か月後、6か月後に行っている
・タンザニアでのVAの計測方法:ランドルト環 → Counting Finger* 5m → Counting Finger 1m → Hand Movement → Light perception
*CF:指を立てて見える指の数を数えてもらう
・かつてOrbis(アメリカの慈善団体)がタンザニアに来て飛行機の機内で眼科のオペをしてくれていたが、他国へ移動してしまいタンザニアへの支援は中止となった。ちょうどそのタイミングで日本チームが支援を申し出てくれたので喜んで受けることにした。非常にありがたく感謝している。特に硬い核の症例は毎年来てくれる日本チームに託している。
・フェイコを学ぶためにウェットラボは非常に重要なのでぜひやってもらいたい。豚眼も準備することができる。
・MUHASのドクターを日本に2~3週間送ってフェイコを学ばせたい。旅費、滞在費はタンザニア側でなんとか寄付を集めてまかなうつもり。

2:MUHASでの変化
・昨年までは院内に入る時に何もチェックされなかったが、患者さんの家族の面会時間が整備されたようで、入口に受付エリアを建設中。面会時間は6:00-7:00am, 12:00Lunch hour, 16:00-18:00のみ。それ以外の時間帯は医療関係者しか入れない。
・オペ室の整理整頓が行き届いている。JICAが整理整頓方法を教育し、それば徹底されている。
・研修医の人達の動きが格段に早く正確になった
・術前検査の効率が上がった
・衛生観念が改善された。活動を始めた初期の頃はトイレのスリッパとオペ室で使用するスリッパを兼用していたりしていたのだが、今年は手術現場に近いオペ室のドアからの出入りは極力控えて、裏側のドアからメインで出入りするようナースからの指示があった。また、日本チームの荷物は初期の頃はそのままオペ室に持って入ってオペ室の奥に置いていたが、途中からビニール袋へ入れるように指示が出て、今年はオペ室ではなく準備室へ置くよう指示を受けた。過去にはオペの準備が整った後に天井から水漏れが起き、その場で粉じんを巻き上げて工事を始め、工事終了後そのままオペを開始していたのを考えると衛生観念は大きく改善された印象。
・我々が活動を始めた当初MUHAS側の眼科部長であったDr. Mafiwiriがオペ室に顔を出してくれて久しぶりの再会。2009年に日本チームに会ってから眼科も随分大きくなり、当時6名だった研修医が今年は17名。隣国からの生徒も増えてルワンダから2名、ブルンジから2名、ボツワナから1名が来ている、とのこと。
・昨年まで毎年我々の活動時の運転手をしてくれていたジェフリーが今年は空港にお迎えに来られなくなった。最初は車の故障が原因だと思っていたのだが、よくよく聞いてみると、Sight Saverという慈善団体からの寄付でMUHASの運転手とし雇っていたジェフリーを寄付が途絶えたことで雇えなくなったとのこと。ジェフリーは新しい仕事を探している最中で、MUHASも運転手を失ってしまった。運転手の給料までも寄付に頼らなければならない厳しい状況。

3:新大統領になって変化したこと
・寄付品に関してTFDA(Tanzaniaの厚労省)からの許可が取得できないと通関できなくなった
・3か月前から白内障手術費用への公的補助がなくなり、患者さんは今まで無料で受けられていた手術に$60(米ドル)支払わなければならなくなった
・昨年よりも随分道がきれいになったと思ったら、道にゴミを捨てると$20の罰金が課せられるようになったとのこと

4:来年以降の活動について
・活動資金集めのために何かできないか?小牧だけでなく他の地域のライオンズクラブへ寄付を依頼してみる。クラウドファンディングで資金集めができないか?ただし、審査のための書類準備の負担が大きい可能性があるので要確認。
・寄付品、手術器機を通関するための規制が厳しくなったのでそれにどう対応していくか?


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