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オレンジ国内活動

 Drサニイワ 研修('11)

オレンジその他活動

 医療機器寄贈('08)

 第11回 タンザニア眼科医療支援活動


●活動日程:2015年6月6日~14日
●訪問先: 国立ムヒンビリ大学病院
      (Muhimbili University of Health and Allied Science-MUHAS)
●参加者: 横山光伸(木村眼科内科病院)

      小嶋義久(小嶋病院 眼科部長)
      山﨑美幸(山﨑眼科)
      竹内 護(アシコ・ジャパン
           NPO法人タンザニア眼科支援チーム理事)
      竹内建司(テイクオフメディカル
           NPO法人タンザニア眼科支援チーム理事)
      山内智子(看護師)
      春木隆一(木村眼科内科病院 看護師兼検査技師)
      横江美貴(在タンザニア日本大使館、看護師)
      貞廣光佐子(日本アルコン)

●活動内容:

 6月6日(土)

23:15

関西国際空港発

 6月7日(日)

18:30

ダルエスサラーム着。横江さんのサポートを得て通関。MUHASより事前に招聘状を発行してもらっていたため、スムーズに通関できた。


 6月8日(月)

10:00

MUHAS着。レクチャー開始。
レクチャー参加者: Dr. Mathaka、Dr. Baruwani、Dr. Suzan、Dr. Padhani、MUHASMUHAS研修医13名、Rodger(ナース)、James(メディカルエンジニア)、タンザニア眼科支援チームメンバー。(Dr. Sanywaは用事があり、途中から遅れて参加)。

10:10

小嶋先生の講義
Title : How to reduce refractive error
概略 : 手術がより安全により簡単にできるようになってきた一方、術後の屈折値ずれはなお目立つ合併症である。屈折値ずれを起こさないためには正確な眼軸長測定が重要である。そしてより正確性を向上するためには術後結果を集積し独自のA定数を求めるのが有効である。寄贈したA-scan装置でこれらのことが可能になる。
質疑応答 : タンザニアDrから、術後屈折値が-1D程度になった1例について、「なぜ近視に合わせるのか」という質問があった。日本では近視に合わせる症例が比較的多く存在することを説明した。


10:20

春木さんの講義
Title : Point of A-mode Operation
概略 : A-Modeでの眼軸長測定方法を写真を見せながら分かりやすく説明。測定時に患者さんの顔が斜めにならないようにして、おでことあごを台にしっかりつけて正面を向かせる、両眼を開けてしっかり固視表を見てもらう、等の注意点を解説。


10:30

横山先生の講義
Title : Complications of Vitrectomy
概略 : Vitrectomyの開発の歴史から入って、Vitrectomyの有用性(さまざまな疾患の治療に有効、さらにはMIVSへの進化)、そのあとはVitrectomyの合併症を疾患別に挙げ、手術ビデオを交えながらの説明をした。最後にVitrectomy手術は熟練した術者の指導のもとに行うべきであって、未熟な手術は失明者を増加させると締めくくった


11:00

Donation Ceremony
例年通り、各企業より寄付していただいた物品をDr. Sanywaに寄付。特にCCC 鑷子の寄付に反響大。感謝の言葉をいただく。


11:15

竹内(護)さん、竹内(建司)さん、貞廣はオペ室へ移動し、今回寄付をしたA-modeやカセットオートクレーブ、その他器機の設置。
A-modeは組み立て時にネジが足りないことが発覚したが、メディカルエンジニアのJamesに依頼してネジを買ってきてもらい解決。オートクレーブは計3台になった。
残りのメンバーは術前検査のため眼科病棟に残る。ケラト測定し、外傷性白内障患者1名、糖尿病併発患者1名、ノーマル白内障患者1名。


19:00

日本大使公邸にて夕食
吉田大使は今年からタンザニアへ新しく赴任された。
かつては隣国のケニアの方が日本人観光客訪問率が高かったが、最近はケニアの治安が悪化してきていることもあり、タンザニアを訪れる日本人観光客の数が増えていること、ケニア人は英語が得意でタンザニア人はスワヒリ語が得意、等のお話を聞く。


 6月9日(火)

9:30

MUHAS着。竹内(建司)さんがA-Modeを設置。春木さんがMUHAS研修医に向けてA-modeの使用説明を行う。皆、非常に熱心で、質問も多かった。
ターゲットを-0.50にすることを推奨すると、ここでも「なぜ0.00にしないのか?」と質問が出たので、「もしも術後に度数ずれで遠視になった場合に遠くも近くも見えにくくなるため、ターゲットを-0.5Dにすることで遠視になるリスクを避けたほうがよい」、と回答すると、「それは日本人だけでなく、タンザニア人にも該当するのか?」等のさらなる質問が上がり、活発な意見交換が行われた。
使用説明後は実際に計測。Dr. Mathakaが患者役となりMUHAS研修医が計測を行う。




11:00

オペ室の外のスペースで実際の患者さんの術前計測を春木さんと竹内(建司)さんの指導の下、開始。
(1)糖尿病併発患者。A-mode計測は、右眼を春木さんが、左眼をMUHAS研修医が行う。
(2)Dr. Peter M. Swai。小児科医。片眼既にオペ済みでIOL挿入済み。外斜視あり、固視灯を使ってガイドした。
(3)女性患者。通常の柔らかい核。
(4)外傷性白内障

11:50

小嶋先生は翌日のオペ患者の術前検査のため、眼科病棟へ。7名の患者の術前検査を行う。1名、後部円錐水晶体の患者がいる。

12:30

オペ開始

1例目:59歳 男性 糖尿病併発   [術者:横山先生]
2例目:52歳 男性 左はレンズ挿入済[術者:横山先生]
3例目:72歳 女性 [術者:小嶋先生]
4例目:34歳 男性 外傷性白内障  [術者:小嶋先生]

14:20

竹内(建司)さんがMedical Engineerの研修生にフェイコ器機のセットアップ方法を説明。


 6月10日(水)

9:30

術後検査(横山先生、小嶋先生、春木さん、山内さん、貞廣)

昨日の2、3、4例目の患者すべて問題なし


9:45

術後検査組がオペ室へ到着。レフケラとA-modeの測定が既にMUHAS研修医によって始められていた。前日に教えたA-modeの測定方法は完全にマスターしており応用もしていた。
研修医がDr. Suzanに使用方法を教えられるくらいまでになっており、研修医だけでは測定は無理であろうから、誰かがサポートを、と話していたがその必要は全くなかった。進歩が目覚ましい。


11:05

オペ開始

1例目:90歳 男性[術者:小嶋先生]
2例目:72歳 女性[術者:小嶋先生]
3例目:57歳 男性[術者:横山先生]
4例目:75歳 男性 サブテノン嚢下麻酔[術者:横山先生]
5例目:58歳 女性[術者:横山先生]
6例目:59歳 女性[術者:小嶋先生]
7例目:39歳 男性[術者:小嶋先生]
8例目:68歳 男性[術者:小嶋先生]
9例目:47歳 女性 外傷性白内障[術者:横山先生]
10例目:70歳 男性 Complicated Cataract[術者:横山先生]


16:20

オペ終了
今回の活動は無事終了。

課題


1:来年のスケジュール
・7月がラマダンなので、6月か9月。
・9月でも問題ないが、研修医が全員は揃わないので、10名かそれ以下となる。6月であれば、テスト等もあり研修医が病院にいるので多数(20名程)揃う。
・6月1~2週目がベスト。

2:その他
・MUHASでフェイコができるのはDr. Paghani、Dr. Muende、Dr. Sanywa(少し)、Dr. Suzan(習得中)
・小児眼科専門医はDr. MuendeとDr. Niaruke
・Dr. SuzanはMUHASでresidencyを終了した後、3年間故郷のレソトへ帰国。夫がタンザニア人なので、今はタンザニアに戻り、MUHASで勤務している
・Medical engineer、Jamesの後輩にあたるMedical engineerの研修生が2名見学に来ていた。女性エンジニアの卵、NeemaはArushaのEngineer SchoolからMUHASへ数か月の研修に来ていた。器機が動かなければオペもできない、エンジニアは非常に重要な役割を果たす仕事であると伝えると嬉しそうにしていた
・Senior ResidentのDr. Edmund Ferdinand Mushumbusiはこの8月でresidencyが終わり晴れて眼科医になるとのこと。眼科医になった後は故郷のKigomaへ移り、たった一人の眼科医として頑張る!と意欲に燃えていた。Dr. Edmundによると、タンザニアで眼科医になるためには政府から奨学金をもらう場合は計11年かかる。MD5年、General Practice3年(病院で勤務する)、眼科Resident3年。自費で授業料を支払える場合は、3年のGeneral Practiceは免除となり、計8年となる。
・Dr. Sanywaによると、現在のタンザニアの眼科医数は45名。眼科医の数が増えた理由は眼科だけでなく医師の総数が相対的に増えたことと、眼科がこれから成長する分野であることに気付き始めたこと。45名の眼科医の内、2/3はダルエスサラームに残る。地方へ行っても器機が揃わず、MUHASでresidentをしていた時のようには回らないため、葛藤の末、眼科医を辞めてしまう人もいる。せっかく技術を磨いても物資不足の壁を越えられないでいる。


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